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スポーツ義足研修セミナーレポート

2012年9月29日、日本義肢協会東北支部主催の研修セミナーに参加してきました。
今仙技術研究所の最新スポーツ義足の紹介・デモ・講義や、パラリンピックの紹介、山中デザイン研究室による美しい義足などを体験しました。

今回紹介いただいたスポーツ義足は、下腿義足用・大腿義足用・に板ばね状の足部を付ける形の物と、スキー競技・ノルディック用の任意の角度で固定出来る膝継手などがあり、それらの走り、映像やランニングを生で見た時は、まさに圧巻・感動でした。

下腿義足にスポーツ足部を付ける構造は、自身のソケット後方にアタッチメントを追加でつけるだけの簡単な構造なので、興味のある人でも最小限の費用負担にて色々試せるのではないかという印象でした。さらに今仙さんのパーツは、価格も一番安価で、長さ調整・アライメント調整が細かく出来る点が優れておりました。

一番驚いたのはやはり大腿義足+スポーツ足部。
最初に気になったのは、ターミナルインパクトの強烈さです。
膝継手でインパクトの調整が出来るのに何故こんなに出ているのか?と疑問でしたが、話によるとトップアスリートでも、やはり膝が伸びていないと怖くて足が付けない(転んでしまう)らしく、あえてターミナルインパクトを出して、膝が伸びきっている感じを体に伝えているのだといいます。

走る為の知識・練習・環境いずれも通常よりハードルが高い印象でしたが、反面、下腿義足+スポーツ足部は入り易そうな感じを受けました。
いずれのタイプでも立位時、足部の長さが健足より長いのが特徴で、実際走り出したらその荷重で沈み込むのを想定した長さとなっており、走行時に初めて左右の高さがちょうど合うという考え方だそうです。この沈み込みを利用して、蓄積したエネルギーを走りに転嫁しています。スタート直後はスローでも、後半伸びが出る特徴も面白いと思いました。

また、当然といえば当然なのですが、モデルの方々の歩く姿がとても綺麗で驚きました。
走る行為自体が、自身に対しての義足適合のレベルが上がっている証拠となり、走ることが出来るなら、歩くこと自体何も問題が出なくなるという理由からなのだそうです。
若い義足ユーザー様に一つ良い情報提供が出来、これらを元にして、少しでも義肢スポーツの間口を広げられたら良いと感じました。

最後のセッションは、山中デザイン研究室による美しい義足。 
実際見た時は、ガンダムの足を女性版にアレンジした外骨格みたいな感じで、おしゃれに合わせて装着すれば、きっと外出も楽しくなると思いました。現在の日本の義足の考え方は、隠す・本物に似せて分かりづらくする考え方が主流なので、このように、見せる(魅せる)義足もとても面白いと感じました。実際にユーザー様に提供するには、まだまだ細かい部分・制度などで時間が掛かるとも感じました。

今回のセミナーは大変楽しく学ぶことができ、普段仕事をしているうえで、義足に限らず色々考えさせられる部分もたくさんありました。
次回のスポーツ義足のセミナー開催・色々なメーカーさんのパーツ体験を楽しみにしたいと思います。

文責:秋田支店 松岡芳樹