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海外研修に行って来ました![イギリス編]

2012年5月、イギリス、ドイツへ海外研修に行ってまいりました。
イギリスにて靴工房の製作現場見学、デザイン勉強、ドイツ・ライプチッヒでのリハテック2012へ参加、ベルリン・オットーボック社サイエンスセンター見学。
初めての海外渡航ということもあり、多方面で緊張が続く研修ではありましたが、目にするものすべて新鮮で、石畳や建物ひとつとっても歴史を感じ、初めてのヨーロッパを体感するに十分であったと思います。
今回のレポートは「イギリス編」。靴を大事にするイギリス文化。納得の理由を肌で感じることができました。

  • イギリス・ロンドン市内の靴工房で働く三人の日本人
  • 靴の底付け作業の様子

イギリス・ロンドン市内の靴工房で働く三人の日本人と、その工房の責任者のイギリス人と記念撮影。
ここでは高級靴メーカーの仕上げ作業や修理を請負っています。こういった工房が何箇所もあり、メーカー数社から作業を受注しているのだといいます。本当の意味での手作業を見学できました。
実際に靴を製作している様子。これは靴の底付けの作業で、失敗は許されない、かつ繊細な作業。
ひとつひとつの手作業の積み重ねが高級革靴を支えています。工房内には数人の日本人の方がいて、その方々は日本の学校で靴製作を学んでから更に技術を磨くためにイギリスに来た、といいます。

  • トリッカーズショールーム
  • 高級靴メーカー、エドワードグリーン

ノーサンプトンにある靴メーカー、トリッカーズのショールーム。靴のタイプ・色・革の種類など、様々な革靴が展示されており、実際に試履きも出来ました。
ショールームの隣では、実際に靴を作っている工場が併設されていました。ショールームの窓越しに覗くことが出来る。数多くの靴が、手際良く作られていました。
写真右は、ノーサンプトンにある高級靴メーカー、エドワードグリーン。派手過ぎない看板が好印象でした。

  • フォスター&サンの店舗二階の革のストック棚
  • 二階の修理工房。棚に並ぶ作業待ちの靴が沢山並ぶ

ロンドン市内にある、フォスター&サンの店舗二階の革のストック棚。
沢山の革が綺麗に保管されていて圧巻。二階の修理工房には、棚に並ぶ作業待ちの靴が沢山並んでいました。

  • 階段や倉庫内に束ねられて保管されている木型
  • ロンドンの靴工房の作業場
  • 整形外科靴。脚長差用の靴。
  • 職人の匂いを感じる工房内

階段や倉庫内に束ねられて保管されている木型(ラスト)。
物凄い数!束は時系列にストックされており、ちゃんと把握しているそうです。それにしてもこの数!驚きました。
ロンドンの靴工房の作業場には、靴やラストを挟み込む大きなクランプがあり、これにラストを挟んでヤスリで削って作っていました。工房内で整形外科靴を発見。脚長差用の靴ということで、革の質も高く、参考になりました。工房内の工具が並ぶ作業場には、刃物やヤスリ、接着剤が各種並んでいて、職人の匂いを感じることができました。

  • 高級靴メーカー、ジョン&ロブ
  • アウトレット商品展示ブース

ノーサンプトンの高級靴メーカー、ジョン&ロブの店舗の外観。「ここが?」という印象でしたが、店舗二階に上がると納得!二階には、アウトレット商品展示ブースがあり、靴がサイズごとに棚で仕分けられており、その棚は靴が入った箱の上にまた箱が積まれていました。ひとまず自分に合うサイズの棚の靴を全部チェック。正規品の価格では手が出ない高級靴を安く買うことが出来るチャンスでした。若干のキズや縫製の失敗、不人気色や革の劣化等の理由があるにせよ、気に入るのがあるのでは?ということで、やはりとても気になるものです。

  • 高級靴メーカー、チャーチ
  • ジョン&ロブで発見したステキな白い靴
  • フォスター&サンのショールームにて
  • 味わい深い色合いの革で作られていた靴が沢山

ノーサンプトンにある高級靴メーカー、チャーチ。
ロゴがお洒落です。もちろんショールームに並んでいた靴も上等なものでした。
ジョン&ロブで発見した、自分の足に合う靴。白い革靴でカッコイイのですが、革の傷みがあったので断念・・・。
価格も頑張れば買えないことも無いくらいだったのですが・・・残念でした。
ロンドンのフォスター&サンの店舗一階のショールームには、ビスポーク靴の他にも高級靴が並んでおり、味わい深い色合いの革で作られていた靴が沢山ありました。手にしているこの靴、清水の舞台からスーパーダイビングする勢いで購入しました。一生大事に履きたいと思います。
出荷待ちや修理作業待ちの靴たち。中には日本人からの依頼のものもありました。修理の内容によっては新しく作るのとほとんど変わらない金額が必要なものもあるといいますが、愛着ある靴を大事にして直して履くイギリス紳士が多くいるのだということ感心しました。

ほとんどの靴工房のショールームからは実際に靴を製作している工場がガラス越しに見学出来るようになっており、アッパーに使われている革の種類や靴底の種類は非常に多彩で、参考になりました。
サイズごとに山積みされている沢山の高級靴を、試し履き出来るようになっているのも魅力的で、若干の傷や型遅れのデザイン・色あせ等の理由で価格のほうが正規の価格よりも低く設定されており、気に入るものがあればお買い得感も高いと感じました。
貴重なビスポーク靴の仮合わせ(アッパーのフィッティングチェック)に立ち会うこともでき、靴の履かせ方、アッパーのシワ、痛い箇所が無いか、踵部分の高さチェック・・・「プロ」としての対応と技術を体感でき、今後に参考になるところがたくさんありました。
あっという間にイギリスでの研修は終了。
いざドイツへ・・・。文責:弘前支店 工藤健史